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中島みゆきツアー 夜の動物園に龍がやってきた。 [Mの音楽]

実を言うと、「中島みゆきツアー2010」の開催発表当初はさほど期待感がなかった。

そのころはちょうど、「中島みゆき熱」がすっかり落ち着いていたため、せっかくなら見に行こうというくらいの気持ちでチケットを申し込んでいた。

それは前年の夜会があんまりにも強烈だったために起こった反動みたいなものでもあったのだけど、それはちょっと浅はかだったと今は思う。


コンサートツアーで聴けたらいいな、と思っていた「銀の龍の背に乗って」と「真夜中の動物園」が生で聴けたのは本当にうれしかった。

今回のコンサートは間に15分の休憩をはさんでおり、第2幕とも言える休憩明けの8曲目は「真夜中の動物園」だった。

コンサート再開のブザーとともに会場の照明が落とされる。

暗がりの中、「真夜中の動物園」のイントロの”コォーン…コォーン…”という鐘の音が鳴り響く。

ちょうど、この鐘の音がまさしく始まりの合図のような雰囲気を帯びていて、ちょっとゾクゾクした。しだいにステージが幻想的な照明によって照らし出される。

すると、みゆきさんはそれまで歌っていたステージ中央前方から、その後に組まれた階段に片ひざを立てるように座っていた。

衣装も変わり、鮮やかな紅色のドレスにたっぷりとしたファー(毛皮)をまとっていた。やや無機質なステージセットの中でひときわ映える姿だった。

そのままみゆきさんは座ったままで歌い始めた。

やがて曲はすすみ、曲調も盛り上がってくる。

”誰だい ヒトなんか呼んだのは”という歌詞にさしかかった瞬間、照明の転調とともに息を呑むような緊張感のあるムードで空気が張り詰めた感じがした。

そしていよいよクライマックスが歌われる頃になって、とうとうみゆきさんが立ち上がった。立つとは言ってもかがむような姿勢で、ファーを取り去った。

まるで獣が獲物を狙うようなひじをあげた手つき、かがんだ低姿勢を保ったまま、あたりの様子を窺うようにゆっくりと階段を下りて、さきの立ち位置へ帰ってくる。

コーラスによるスキャットもいよいよ高まってくる。

ラスト、高らかに声をあげたみゆきさんの歌い終わりに合わせるように照明もすかさず暗くなり、余韻を残しつつも息を合わせて「真夜中の動物園」の演奏が終わった。

暗転しばらく、みゆきさんがしゃべりだす。

そのとき着ていた紅色の衣装、腰のあたりに赤や黄色や派手な羽の束がタップリついていた。それがみゆきさんの動きに合わせてフサフサ揺れる。

みゆきさんいわく”こんな恰好だから、何言っても説得力がなかろうと、じゃあ次は軽めの曲を”といった紹介で「夢だもの」の演奏は始まった。


そうして11曲目、”新しいアルバムの曲から多く演奏しているけど、新しい曲って、あんまり知れ渡ってないもんだから、お客さん知らないよってな感じになっちゃうから、これなら聞いたことあるんじゃない?”というような紹介のもと始まった曲は「銀の龍の背に乗って」。

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私が初めて買ったみゆきさんのCDは「銀の龍の背に乗って」のシングルだった。

聞いたことあるんじゃない? いやいや、何度聞いたかもうわかりません。

Dr.コトー診療所の主題歌でちょっと有名だし、最近のコンサートでは歌われていないし、今回聴けるんじゃないかな、との期待を寄せつつ臨んだコンサート。

セットリストを調べずに行ったおかげで、いちいち「サプライズ的な気分」に浸れることに。

みゆきさん、「銀の龍の背に乗って」の最後のサビの繰り返しの部分で、スタンドマイクを片手にもう一方の手を風になびかせるように高く掲げていた。

たぶんこれは05年の「中島みゆきライヴ!」のDVDに収録された「銀の龍の背に乗って」の振り付けを再現したものだったんじゃないか、とそのとき思った。

このDVDの映像では、みゆきさんに風を当てて、ドレスの袖飾りがたなびくように、まるで龍に乗って風を受けるようなイメージを想起させる、そんな振り付けがあった。

シングルでは、終わりに「銀の龍の背に乗って」という歌詞をそのまま4回ほど繰り返して終わっていくが、「中島みゆきライヴ!」での同じ箇所は、最後の4回目だけ、調子を変えて高めの歌い方で締めくくっていて、迫力がある。

今回のツアーではその流れを汲み継いだ歌唱と演奏で、しかし一度も味わった事のない情感を込めて、あらためて「銀の龍の背に乗って」を体験できた。


あの歌の持つ強度はいったいなんなのだろう、今まで知っていたものを思い出すと同時に、眠っていた部分まで起こされた気分があるのも、また確かなこと。

本当、すごいなぁ。


おめもじでした。
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