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夜会VOL.17 「2/2」みゆきのサインに手が届く― [Mの音楽]

夜会VOL.17 2/2を観て参りました。

感想を一言で言うと、みゆき・サイコー☆みたいな、
私の脳みその空洞っぷりを露骨に披露する感じになってしまうほどでした。

今年の夜会演目「2/2」は過去95・97年の2度にわたる公演を経ての、
約14年ぶりの再々演となった舞台でした。

私はあらかじめ初演の2/2のDVDを観て、
公演翌年にみゆきさんが書き下ろした小説版の2/2を読破しておりました。
要するにまったく観たことがなくてなんにも知らなかっただけです。

さぁ、予備知識も見どころも一通り抑えたぜ。バッチコーイ。
仕事も1日休みをとって、公演当日を迎えました。

ACTシアター.JPG
赤坂ACTシアターに着くと、みゆきさんご本人の身長の軽く4倍はあろうかという、
巨大なポスターが貼られておりました。

ポスターにはみゆきの歌に手が届く―、とありましたが、
この高さ、一向に手が届きそうにありません。

到着したのは午後16時過ぎ、
平日ということもあり、まだシアター前に人が並んでいる様子はありませんでした。

赤坂サカスのすぐ近くに美味しい生パスタを食べられるお店があるので、
開演前に最後の腹ごしらえをし、付近のお店で「電卓」を衝動買いしてしまいました。

約1時間が経ち、17時過ぎに再びシアター前に行くと、
夜会のお客さんらしき人が片手で数えられるくらいは集まっていました。

どうしよう、おなかはいっぱいだし、見たいお店はだいたい回ったし…することがないので、

よし、並んでしまえ!

そうそう、小説版2/2を持ってきたし、読んでるうちに2時間くらいすぐだろう、
会場時間を待っちゃうことにしました。

正面ドアーの2歩後ろに立ちながら本を読み、
18時近くなって係りの方が列の移動を促し、青い柵の中に入りました。

RIMG6915.JPG
夜会入場のために列に並んで待ったことはありましたが、
最先頭で並ぶのは初めてでした。
まぁ、いずれ入れる会場にわざわざ並ぶファンの理由はだいたい決まっています。

中島みゆきの「直筆サイン」が欲しいんです。

私も欲しいんです。
みゆきさんが1日1500枚くらいサインを書いてくれれば、
もう少しゆっくり行動できるだろうな、と思います。

でも、サインの書きすぎで腱鞘炎ギリギリのふるえる腕でマイクを握るみゆきさんを思うと、
胸がばりばりはり裂けてしまいそうなので、贅沢を言いわけにもまいりません。

なによりみゆきさんにはサイン執筆よりステージでそのパワーを発揮していただかねば。

会場で販売されるCDなどのグッズを3000円以上購入した際、
先着でもらえるサイン色紙。

1日何枚の用意があるかは伏せられているので、わかりませんが、
会場直後の様子をうかがう限り、少なくとも30~40枚は確保されているように思います。

このために私は最新アルバム「荒野より」をよそで買わずにいたのです。
家に帰ったらピカピカのCDと直筆サインを持って帰れるのです。

でも、
18時を過ぎてあたりから、寒い

すぐ目の前にあるオンラインチケット発券機を使うために、
ドアを開ける人がいると、中の暖房の効いた空気が流れてきて切なくなります

正直、そのときサインのことなど考える余裕もなく、じわじわこわばっていく筋肉たち。
もしも早めに並んでおこう、と考える方は、
マフラー・手袋・携帯カイロ・コーヒー以外のあったかい飲み物など、
万全な防寒対策をしていれば、大量の鼻水をたらさなくて済むでしょう。

ようやく会場時間19:15を迎える頃には、2/2を半分以上を読み進め、
胸をなでおろす気分でチケットをもぎってもらいました。

入場後、列に並んで配られたのは、番号1番の整理券。
無事、アルバム「荒野より」を購入してサインを受け取ったのでした。
さて、これで安心して家に帰れます。

あぁ、忘れちゃいけない、席に着いて夜会を観なきゃ。

続く! …のかよ。

おめもじでした。
タグ:中島みゆき

夜会VOL.17「2/2」を観る心がけ [Mの音楽]

”私、幸せになんかなっちゃいけないんです”

…そんなことないよっ☆

中島みゆきさんが主演・構成・楽曲を手がける演劇形式コンサート「夜会」。

今年で第17回目を数える今回の夜会は「2/2」(にぶんのに)。

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中島みゆきさんが好きな私は、
今年の夜会に足を運ぶべく、しっかりチケットを確保しておりました。

夜会は1回だけではどうも物足りないので、2夜分を用意。
S席1枚で2万円。2まいでよんまんえん。

あれれ、数字を意識したくないのか、なぜかひらがなになってしまいましたね。

そうです、私のような四半世紀も生ききっていない若輩にとっては、
…まぁありていに言って高いのですが、そんなの関係ねー、のでございます。

そんな訳なのか、妙な貧乏&ファン根性が働くもので、
”予習”をして、しっかり生の夜会を見届けてやろうじゃないか、と考えるわけです。

上の写真は、先日買った95年初演の夜会2/2の様子を収録したDVD、と、
右に並ぶ本は地元の図書館から借りてきた小説版2/2です。

ファンはかいがいしくお金と時間をかけて、涙ぐましいを注ぐ訳です。オロオロ。


どれどれ、と久かたぶりに観るみゆきさんの夜会のDVD。
ネットで~、一番安くて~、新品で~、一番ポイント付与率が高いとこで~、
チマチマ選んで買ったこのDVDを勢いよくデッキにセット。

正直、最近は昔ほどみゆきさんのCDを聞かなくなってしまったんですよね。
あれほど美味しくてしょうがなかった富良野のメロンゼリーも、
いっぱい食べて満足したら、あるときを境に食べようとは思わなくなっちゃった、みたいに。

あのみゆきさんをメロンゼリーなんぞに喩えてしまって、はなはだ畏れ多いのですが、
こればっかりはどうしようもございません。

でも、私の血肉となって、今の自分を成立させていることは間違いありません。

前ほど気負うこともなく、ジュースなど口にしながら観る画面の中の夜会。

2/2の中盤くらいまで、細部を見つめることもなく、
おおまかに流れを把握するのみで、つらつら眺めていた夜会でしたが…

あれ?いつのまにか体が硬直して、
みゆきさんの歌唱と物語の展開に引き込まれている自分がいるぞ!

もうこうなったら冷蔵庫に飲み物をとりに行くことなんか、できない。
トイレだって後回し。
脳みそも気を利かせて膀胱の神経をマヒさせてくれている。
みゆきさんのためなら、おもらしすることだっていとわない。

夜会に惹きこまれ過ぎて、本当に漏れてしまったら、
コンサートツアーでみゆきさん宛てへのおたよりネタにしてしまえば問題はない。

家で見る分には自分で後始末すればことは済む。
だけど、赤坂ACTシアターの座席で文字通りの粗相をするわけにはいかない。

たとえ上演中、周りのお客さんに気づかれなくても、座席を汚した罪悪は重くのしかかるだろう。
座席番号を追跡すれば、誰がその席に居たかはわかってしまう。

そうなったらおしまいだ。

中島みゆきの夜会の客は座席をひどく汚すから、
金輪際、ACTシアターは夜会公演を受け付けません、と最後通告されてしまうかもしれない。

そんな大変な迷惑をみゆきさんにかけてしまったら、
みゆきさんやミュージシャン様、多くのファンの方々に会わせる顔などありはしない。

自ら耳と目を潰す覚悟で、
残された人生を影でつつがなく終えることを約束して詫びるほかないだろう。

というわけで、絶対に上演中に何かあってはいけないので、
開演前にトイレに行って事を済ませておこう。

コーヒーブレイクも夜会当日にかぎっては厳禁だ。
今週木曜日は夜会を観に赤坂へ行きます。

おめもじでした。

夜会 VOL.7 2/2 [DVD]



タグ:中島みゆき

Mの音楽 「夜会1990」 [Mの音楽]

今日2月23日は中島みゆきさんの誕生日。

リメンバー、1年前のこの日、バースディを祝する気持ちでみゆきさんの夜会のDVDを観ていた。

そして今日のこの日も、まだ観たことのない夜会のDVDを解禁、夜8時から鑑賞することにした。

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このDVD、「夜会1990」は、90年の冬に行われた第2回目の夜会の模様を収録した作品で、
当時LDやビデオで発売された時、中島みゆき「初」の映像作品と話題になったらしい。

このDVD、オークションで新品を手に入れていて、今日までずっとあたためていた。
落札したのはもう1年以上前のことだったと思う。

それを今日、解禁することにした。

20年前の「夜会」はいったいどんなものだったのか、じっくりと鑑賞した。

見終えての感想として、「言葉の実験劇場」と銘打たれたこのステージ、
どんどん新しい実験を取り入れながらも、変わらないものもあったんだなと、
見終えてみてやっと、その変遷のダイナミックさを感じた。

初期の夜会は、まだ通常のコンサートの延長線上にあるものだった、という印象を持った。

歌の合間にほんの一部だけ冗談を入れたトークがはさまれているところもありつつも。

芝居的に小道具を用いたり、伴奏のない朗読だけの曲を披露するなど、
独自の表現をいくつも織り交ぜながら歌を披露していくあたり、
明らかに通常のコンサートとは異なる方向性を打ち出したステージだとはっきりわかった。


去年、「中島みゆきコンサートツアー2010」を観に行ったとき、
夜会のテーマソングである「二隻の舟」が披露されていた。

この「二隻の舟」は「夜会1990」では一番最初に披露される楽曲だった。

ツアー2010でも夜会1990でも「二隻の舟」は、
みゆきさんとコーラスの杉本和世さんと坪倉唯子さんの3人でボーカルを担当していた。

ツアー2010のトークでは、”夜会の時は3人でやつれた感じで歌ってたけど、
 今じゃもう自然にやつれた感じで歌える年齢になっちゃったわね”
というようなコメントで会場に笑いが起こっていた事を覚えている。

ほぼオリジナルかつ、フルバージョンの「二隻の舟」が披露され、
それが聴けたのは背筋がぶるぶる震えるくらい本当に嬉しく、聴きごたえがあった。


今年の暮れ、みゆきさんによる第17回目の夜会が企画されているという。
おそらく今度の夜会は完全新作なのでは、と思う。

今や様々な舞台美術と装置が仕込まれた夜会のステージではあるけれど、
それらは歌の表現の追及に付随するものであって、
あくまでも「歌と詩」を主軸として構成されているのが「夜会」であり。

常に新しい手法を取り入れて、まだ見ぬ地平を開拓するフロンティア精神にあふれたステージ。

だからこそ、魅力的なんだと思う。

コンサートでは知っている発表済みの曲をファンは安心して楽しんで聴ける。
でもそれはみゆきさんら、創作する立場には「過去の再生」の延長でもあるのかもしれない。

そう思うと、やはりみゆきさんのような「オリジナル」を創作する立場としては、
「未知の創造」への活動がよほど大事になってくるのだろうと思う。

そういうものを絶えず乗り越えていく方だからこそ、
私はみゆきさんのことが気になって仕方ないのだと思う。

いったいどんな世界が夜会で続いていくのか、本当に目が離せない。


おめもじでした。

夜会1990 [DVD]



その一撃に込めて ワンダと巨像オリジナルサウンドトラック [Mの音楽]

ここ何年かずっと私はテレビゲームをやらなくなった。

全く遊ばないというわけではないものの、
ひと昔前ほどゲームに時間を費やそうとは思えなくなっている。

そんな先日ふと、持っていた「ワンダと巨像」というプレイステーションソフトをプレイしてみた。
「ワンダと巨像」とは、主人公「ワンダ」が人間の背丈の何倍もある体躯をした「巨像」を身ひとつで
倒していくアクションゲームである。

すでに何度かクリアしていて、けっこうやり込んだゲームだったものの、
数年越し、久しぶりにやってみても、やっぱり面白い。

この「ワンダと巨像」、発売当時はその斬新な視点のアクションが話題になったが、
実際に遊んだ人はゲーム中に流れるBGM、もとい音楽の演出も大きな魅力のひとつだと言う。

いわんや私も「ワンダと巨像」の広い意味での「音」に心奪われたひとりだった。

そこで、今更ながら、なぜか急にこのゲームのサウンドトラックCDを買うことにした。

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この「ワンダと巨像 大地の咆哮」にはゲームで使用された36曲と未発表の7曲合わせて42トラックが収録されている。

「ワンダと巨像」というゲーム、物語りの進行は実にシンプルにできている。

ゲームのスタート地点である大きな祠(ほこら)が地図の中心にあり、
そこから主人公の愛馬「アグロ」にまたがって、広大な草原や渓谷、岩山を越えて
「巨像」の居所目指して駆けていく。

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倒すべき巨像は各地に16体存在しており、順番に1体ずつ倒していく。
1体倒したら、スタート地点に戻されふたたび次なる「巨像」を倒しにいく…
淡々とこれが繰り返される。


このゲームの「音」について印象的なのは、フィールドを移動しているとき、基本的に音楽がないこと。
聴こえてくるのは主人公「ワンダ」や愛馬「アグロ」の足音や風の音など、いわば環境音と効果音のみ。

ただ立っているだけだと、ときおり鳥の鳴き声のする程度で、まったく静かそのもの。

一転、巨像との闘いでは、プレイヤーの心理とリンクするように状況に合わせてBGMが変化する。

導きに従って「巨像」の潜む場所へ踏み込むと、
静かながら緊張感の漂う、みじかい音楽が流れる。
その音楽は巨像の気配と、その場所の神秘性を印象付ける。

そして「巨像」と遭遇すると、険しく重厚なBGMが流れはじめ、その圧倒的な存在感を引き立たせる。

「巨像」達はもれなく主人公「ワンダ」に対して攻撃的であり、巨大な足で踏みつけようとしたり、
手にした武器を振りおろしたり、はては雷撃のような飛び道具を「ワンダ」めがけて撃ってくる。

ただ剣や弓を使っても巨像には全く歯が立たない。
巨像の体には必ず「弱点」があり、それを狙うのが「巨像」をしとめる唯一の手段になる。

弱点を突いて「巨像」の姿勢を崩したり、建物を使ったり、巨像の猛攻をかいくぐり、
チャンスを捉えて「巨像」の体に飛びつく。

すると形勢逆転、勇壮な曲調のオーケストラが打倒巨像を目前にしたクライマックスを盛り上げる。

しかし、体に飛びつかれた巨像はワンダを振り落とそうと、うなり声をあげて身をよじる。
振り回されながらも弱点に向かってしがみつきながら這いのぼっていく。

力を込めて弱点めがけて剣を突き立て、とどめをさす。

刺された弱点から黒い血のようなものを勢いよく吹きあげて力を失い崩れていく巨像。
すると、物悲しげな音楽が流れる。

主人公ワンダは、ある一人の少女を生き返らせるため、巨像を倒す目的を持っている。
しかしそれは掟破りの呪われた儀式だということが、あとに語られる。


このようにゲーム中の音楽は「静」と「動」との強いコントラストを持つ。

草原の静けさがあるからこそ、巨像に立ち向かう瞬間の音楽がより強く印象づけられる。
その逆もまたしかり。


このサウンドトラックの音楽を担当した「大谷幸さん」について付属のブックレットの紹介を見てみると、
サザンや桑田さん、松田聖子さんのコンサートサポートやレコーディングに携わった経験ありとのこと。

ポップミュージックとはまったく毛色の違うこのサントラだけに意外や意外。
卓越したアレンジャーの引き出しの広さと深さは本当に得体が知れない。


巨像と闘うシーンの音楽で一番印象深いであろう一曲をここに。


おめもじでした。

ワンダと巨像 大地の咆哮


タグ:音楽

中島みゆきツアー2010~2011 おたよりコーナーにて その2 [Mの音楽]

1月13日、ふたたび「中島みゆきTOUR2010」の東京公演を観に国際フォーラムへ。

公演も残りわずかとなり、東京公演はこの日で最後だったようです。


この中島みゆきさんのコンサートでは「おたよりコーナー」という、
お客さんからのおたよりを元にトークするコーナーが1度だけはさまれます。

11月の公演で私は投稿した「おたより」がみゆきさんによって読まれるという幸運にあずかりました。

その翌日から、お風呂に入っている時、仕事をしている時、布団の中で眠ろうとしている時、
ふとした心のすきまに、思いつく限り、おたよりネタをポツポツと膨らませていました。


特にコレだ、というネタやアイデアは決まらないままコンサート当日に。
思い付いていたネタをパソコンにざっと羅列しまとめ、それを写真にとって会場へ行きました。

チケットをもぎってもらった後、まっすぐ向かうは投稿コーナー。
この日も前回に使用した「勝負ペン」であるマッキーのマジックを使っておたよりを書きました。

会場をそぞろに歩いて閃きを待ったりもしながら、開演までの時間の大部分はおたより書きに充てました。

今回は4通分のおたよりを投稿し、いずれかがおたより選者である「寺崎要さん」の目に留まることを思いつつ、少し余裕を持って開演を待ちました。


定刻のアナウンス後、にわかに会場が暗くなり、1曲目「今日以来」のイントロが聴こえてきます。
そしてみゆきさんの登場に会場から大きな拍手が湧きます。

私は座席が後方だったため双眼鏡を持って、みゆきさんとステージの様子を見守りつつ聴いていました。
明らかに心臓など全身の脈動が平常時よりもパワフルになっていたため、双眼鏡がよく揺れました。

この激しい脈動は「おたよりコーナー」に向けられた予感を多分に含んでいました。


6曲目「時刻表」の演奏後、みゆきさんのトークが始まりました。

まずは今回のコンサートから休憩時間をとることについて。これはむろんトイレ時間でもあるようで。
みゆきさんの足元が落ち着かない身振りして説明する姿、なんとも可笑しく笑いを誘います。

お客さんはもちろんミュージシャンの方々にとっても都合がいいらしく、
トイレに行きたいあまり最後の方の曲は3倍速ぐらいになっちゃたりしてね、なんてコメントも。

そんないつも忘れがちらしい休憩時間についてのアナウンスが終わった後。
いよいよ「おたよりコーナー」が始まりました。

まず、ペロっとおたよりに目を通して、みゆきさん一瞬止まり。
最初のおたよりに「休憩時間の説明はしたか」という注意メモが書いてあったらしく、会場爆笑。


そしておたよりが紹介され始めました。

大阪から新幹線で東京にやってきて、コンサート後に始発で仕事に向かうという1通や。
新年のCMでみゆきさんが紫色の着物きていたことについての1通など、
そのとき私の心臓はBPM128くらいのハイテンポだったことを覚えています。

4通目ほどでしたでしょうか、覚えのあるフレーズをみゆきさんが読み始めていました。



きた、私の書いたおたよりだ!書いた張本人、今回は自分のおたよりを写真に撮っていました。

相変わらずおぼつかない字

これが実際にみゆきさんが読んでくださったおたよりでした。

学校の体育館で「夜会」、というフレーズに会場のみなさんがウケてくれていました。
ウケ具合の規模としては前回の半分そこそこでしたが、
一部の人はとても楽しく笑っていたのが、耳に残っています。

みゆきさんは笑顔で快くさらりとサインを書いておりました。夢で。
さぁ、私に順番が回ってきた!というところで目覚め。
横につぶれた枕があるいつもの朝の眺めに、戻されて。


正月にこの夢を見て、今回のおたよりのネタにしました。
やはり前回といい、ネタは鮮度が命ということがわかりました。

このおたよりのオチであった、「どうせ夢だもの!」
新曲のタイトルに掛けたこの言葉は後に控える曲のネタバレを防ぐためか、読まれませんでした。
ですが間違いなく、みゆきさんは目で読まれたことでしょう。コレはコレで。


終わりにほぼ実名ペンネーム、青木なおやの名をみゆきさんが読んでくださった時、

「ざ~んね~んでした~!」と叫んでいました。

このとき、いわんや喜びの気持ちが強かったので、
ありがと~!!あたりを叫べば良かったな、と今は思います。
本当に感謝感激極まりないできごとです、本当に。

実のところ、読まれるならこの1通だろうと予想していたおたよりの返答をコンサート中に考えていたのですが、この正月夢話を採用していただくとは思わず、返事コメントがいきおい任せになりました。

2回のコンサートで2回おたよりを読んでいただける。

その確率「2/2」。

今のところは10割打者を名乗れます。

しかしみゆきさんのラジオ本「LOVE」には私のおたよりなぞより、もっと面白い投稿がいっぱいありました。
運の良さが手伝ってくれたことが大きいでしょう。


最後にみゆきさん、今回バンドメンバー紹介トークの中で、こんなことをおっしゃっておりました。

”わたくし… なかなかこれで…



ばかでございます。”

歌詞を間違えたり、歌い出しがわからなくなったり、紅白歌合戦での黒部ダムライヴでの歌詞間違えを引き合いにして会場の笑いを誘っていました。

後になって改めて思うと、みゆきさんは本当に器のでっけぇ御人だぁ、と思い知ります。

国際フォーラム何千人の観客を前につるっ、とこういう自己表現ができる、…言葉になりません。
NとBを打ち間違えたこと、これはまったくもって冗談でしか扱えません。

心に残り続けるであろう場面でした。


おめもじでした。

甘美な危うさ、マイケル・ジャクソン 「DANGEOUS」 [Mの音楽]

マイケル・ジャクソン聴いてますか。私はもっと聴くことにしました。

先日、「デンジャラス」というマイケル・ジャクソンが91年に発表したアルバムを購入。

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マイケル楽曲のいいとこどりアルバム「THIS IS IT」にとても満足していたのだけど、
これには収録されていない名曲を求めて、「デンジャラス」も聴いてみることにした。

アルバム「THIS IS IT」に収録された楽曲はまったく素晴らしい名曲揃いだったけども、
そもそもマイケル楽曲の魅力すべてをCD1枚分に収めることはおそらく叶わない。

「ヒール・ザ・ワールド」「デンジャラス」「ウィル・ユー・ビー・ゼア」

アルバム「デンジャラス」ではこの3曲が聴けるのが特に嬉しかった。
「THIS IS IT」とは重複するけど、「JAM」と「ブラック・オア・ホワイト」の収録も見逃せない。

聴く前にジャケットの絵画を眺めてみると、マイケルのセクシーな視線の下に、
地球のまわりに化学工業地帯のようなイメージが描かれている箇所がある。
蝕まれゆく地球が「デンジャラス」である、と訴えたマイケルの意図があるのかもしれないと思う。

このアルバムには「ヒール・ザ・ワールド」、地球を癒そうと歌う曲がある。

最初は英語の歌詞など知らずに聴いただけだったけど、
とても優しく伸びやかなその歌声は歌詞の意味を超えて訴えかけてくるサウンドだったことを覚えている。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

私は「デンジャラス」収録曲のうち、さきの5曲を除いてまったく聴いたことがなかった。
でも、それがかえって私には新鮮な発見をもたらしたことは、新参ファンならでは楽しみ方だったと思う。

聴いたことがなかった、と思っていたアルバム2曲目「ホワイ・ユー・ワナ・トリップ・オン・ミー」。

あれ!?このメロディ聴いたことがあるぞ、とまずビックリ。

それもそのはず、映画「THIS IS IT」で披露されていた1曲、
ゼイ・ドント・ケア・アバウト・アス」の直後につながれるダンスシーンのBGMこそが
「ホワイ・ユー・ワナ・トリップ・オン・ミー」のそれだった。

さらにそのダンスシーンを締めくくる「車のクラクション音」は
アルバム4曲目「シー・ドライヴス・ミー・ワイルド」で使われているSE(効果音)だった。

「ゼイ・ドント・ケア・アバウト・アス」のリハシーンは私が特に気に入っていて何度も見ていた。

おそらく長年のマイケルファンだったなら、ごく普通に気付くポイントだったのだろうけど、
私はそういうことをほとんど知らなかった。

他にも名曲「スリラー」の直後のシーンでは01年発表の「スレトゥンド」というスリラーに通じる曲をBGMにしてダンスを披露したりと、「THIS IS IT」での演出には、
マイケル・ジャクソンの音楽の歴史をさまざまにつなげて魅せていく仕掛けがたくさんちりばめられている事に今更ながら気付いた。

きっと昔から今まで長くマイケル楽曲を愛してきた人には、特に感動的なものだったと思う。

本当にロンドンでの「THIS IS IT」コンサートは過去のコンサートの伝説を本気で塗り替えるような
ボルテージで素晴らしい情熱を注がれていたことが、あらためて分かった気がした。



「DANGEROUS」の楽曲によるマイケルジャクソンのダンスパフォーマンスをここに。


私はこれを見て「デンジャラス」という曲を知り、そしてツボにハマった。

ガニ股で「十字」を切りながら前進するダンスが特に好き。たまに真似して遊ぶ。

メリハリ。緩急。音楽とダンスの調和。ファンサービス精神。このパフォーマンスは、すごい。
もしも世阿弥がマイケルのダンスを見たら何を思うのだろうか、などと考えたりしてしまった。


おめもじでした。

デンジャラス



鐘つき・嘘つき・おぼろ月 「夜会VOL.16 本家・今晩屋」 [Mの音楽]

昨日12月18日、ちょうど1年前の同日、中島みゆきさんの夜会「VOL・16 ~夜物語~本家・今晩屋」の千秋楽の日でありました。

そして私が「今晩屋」を最後に観た日からまる1年が経ったことになります。
忘れもしない12月17日、赤坂ACTシアターのD列、つまり最前列の席に座れたありがたさ。

私はこの夜会にもうとにかく大変な感動と衝撃を受け、初演と再演合わせて5回観に行きました。

それが高じて、みゆきさんと舞台で共演する「香坂千晶」さん、ヴァイオリン奏者である「牛山玲名」さんのそれぞれ参加するライブへ行き、一緒に写真を撮っていただく…というそそうをしでかすまでに。

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そんな夜会の模様がDVD&ブルーレイに収録され今年発売となりました。

定価8400円、買い方を選べばもっと安く買うことが可能ではありました。
ですが、私はこの作品を安く見てはいません。
よって先日の中島みゆきTOUR2010の会場で、定価どおり買い、
同時に先着特典のみゆきさん「直筆サイン色紙」を頂戴しました。

そして千秋楽から1年経った昨晩8時をもって、この今晩屋DVDの解禁日としました。

部屋の灯りを落としてディスクを再生、まだ何も映さぬ画面にさきがけて、除夜の鐘の音が聴こえてきます。

この夜会「今晩屋」、私はあまり気になりませんでしたが、「かなり難解」と評されている夜会であり、
その難解たる所以は、口語として日常的ではない言葉の多用はもちろんのこと、
なにより、おそらくあまりにも多くの伏線や関係性がちりばめられているために、
見ている人がそれらをどの程度統合しうるか、というさじ加減によって理解の感覚がおおいに左右されることにあるのではないか、と私は思います。

この夜会の物語の「下地」は森鴎外の小説、「山椒大夫」であると紹介されています。
「山椒大夫」は、引き裂かれた家族の話です。

父を探す旅をする母・女中・姉弟の4人はその道中、人買いに騙され母は姉弟と生き別れにされます。
姉、安寿と弟、厨子王は奴隷として暮らし、
やがて姉は弟を脱走させ、自らを助けに帰ってくるよう約束するも、その後入水。
弟は寺へ逃げ、のちに出世、母との再会を果たします。

非常におおまかではありますが、これが森鴎外の「山椒大夫」のあらすじです。

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この夜会「今晩屋」は「輪廻転生」という概念がおおいに含まれた作品であり、前生・今生・来生という言葉そのものも歌詞や台詞に使われています。

それに加えて「今晩屋」制作の揺籃期、みゆきさんは、「逃げる」・それに対し「追う」という言葉を、自身の過去の作品から拾い上げて、新たな作品のきっかけを模索していた、と16回夜会パンフレットに記してありました。

この1年、私は精神世界について少し理解の幅を広げる時間を持ちました。
輪廻転生の概念、カルマや業、宿命と言われている仕組みについてなどです。

私はこういった形而上学的な分野に対して、あまり抵抗を持たないタチだったので、
割とすんなり知識として受け入れることができていました。


人は、もといその魂は、何かを学ぶため、成長するためにこの世に生まれてくるのだと言われています。

生まれくる多くの魂は克服すべき課題や、解消すべき問題を持っていると言います。

生きている間にこれらの問題を自ら乗り越える場合もありますが、問題を残したまま一生を終えると、
次に生まれることになった場合、学びのため引き続きその問題を抱えて生まれることになります。

前生の記憶は、新たに生まれてくる場合、無用な足かせとなってしまうらしいので、
前生の記憶を一旦忘れて生まれてくると言います。

過去の失敗のために足がすくんでしまうようなことを避けるためでしょう。

ですが記憶が魂から完全に消え去っているわけではなく、解決すべき問題を気付かせるための道しるべとして残されているようです。

これは、「輪廻転生」という概念の私なりの説明です。

そして「今晩屋」の話の流れ、登場する人物の様子や行動はこういった概念と照らし合わせると、
多くの部分に説明がつくのではないか、と見ています。


母は、子をだまし取られた己の愚かさを嘆いています。母は自分自身を含めて、許しを知らねばならなかったのかもしれません。

弟、厨子王は姉の死は自分のせいだと自身を責めています。厨子王は自らを許すことを知らねばならなかったのもしれません。

姉、安寿は弟を待つ約束を守らず、自ら入水したことを悔いています。安寿は守りようのない約束に対しての許しを知らねばならなかったのかもしれません。

誰かが悪いわけではない、しかしいまだ浄化しえぬ悔恨にどのような導きを与えてやればよいものか。


家族が手を取って助け合い、同じ船へと乗り込む姿には、運命を乗り越えてゆけるであろう力強さに満ち満ちています。

しかし、まだその魂の旅には、悔いも愚かさも裏切りも一緒についてまわるであろうことが示唆されます。

ですが確実にそれらを克服しうる魂の強さを獲得しつつある、一縷の光が行く手を照らしています。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

私の感じている夜会・今晩屋のおおすじの印象は現在このようなものです。

私はもう過去の失敗に捉われる必要はない、というメッセージを受け取っています。
これ以上分析する必要もないというメッセージも受け取っています。

もっと素晴らしい未来を受け取ることを自分に許可し、
それに伴う情報を集め、行動を起こすことに力を注ぐことを勧められています。

これは私が今晩屋に惹かれた理由を説明しているものとも言えそうです。


おめもじでした。

夜会 VOL.16~夜物語~本家・今晩屋 [DVD]



中島みゆきのチューイングガム! [Mの音楽]

中島みゆきTOUR2010では色々なグッズが用意されている。

ファンならば全部買っちゃいたい!え~い買ってしまえと、万札を取り出す方も少なくないはず。
でも私はパンフレットを1部買って帰れれば充分、使うあてのない品物は、
みゆきさんゆかりの品といえど、不用意に買いはしない。

と、思っていて、いざ目の前にして無性に欲しくなってしまったツアーオリジナルグッズがあった。

今回は「アルバムコレクションガムセット」というグッズを徹底的かつ一方的に紹介するのである。

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それがこちら、中島みゆき・オリジナルアルバム全37タイトルとツアーロゴの印刷された
40箱のチューイングガムのセット。

箱を振るとザックザクと、ガム達がざわめく。同時にほんのりと甘い匂いも漂う。

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裏面でガムの正体が明かされる、マルカワのオレンジガムらしい。

昔、駄菓子屋で一個20円ほどで6粒、
箱のベロに「当たり」が出るともう1個もらえた事を覚えている。

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背景紙を取り払ったそれぞれの箱の裏面は、
アルバムジャケット写真の色をなぞった色彩で印刷されており、真っ白な殺風景ではなかった。

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またアルバム箱の裏にはそのアルバムの発売日が掲載されていた。

これは中島みゆきの音楽の歴史を噛みしめろ、というメッセージに違いないだろう。きっとそうだろう。

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一箱に丸いオレンジガムが4粒入り。

4粒×40箱=160粒のガムセットである。
このガムセットのお代が2000円なので、「単純計算」するとガム1粒12.5円になる。
う、うまい棒より高い!?

転生のみゆきさんは特にきれいだと思う
アルバム箱と本物のアルバムのサイズを比較すると、まるでサムネイル画像のような、
1辺3センチ強のミニチュアぶり。

箱から出してみると、もっと楽しくなった!

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年代順に並べ替え。
下の列から70年代、80年代、90年代、00年代~に発表された順番になっており、
80年代には1年に1枚以上の発表があったとわかった。精力的!

…まるで自分が中島みゆきのアルバムをすべて制覇したかのような錯覚。

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でも実際には制覇していない。私の所有する本物のアルバムは19作品。虫食いになった。

そのうち2枚は、持っているけど、まだ封を開けていないお楽しみ状態で控えている。

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アルバムジャケットを観察していると、モノクロ・セピア写真で飾られた作品が複数あることに気付く。

76年のデビューアルバム「私の声が聞こえますか」と、
最新作「真夜中の動物園」はなんだか似ている。
でも、トボトボ歩くようなデビュージャケットから、あっけらかんに笑いながら駆ける最新作ジャケットの
みゆきさんの姿には、何かこう、ある地平を突き抜けたイメージがその行間を埋める。

エレぇーン!
おそらく、過去日本で流通したチューイングガムの中でもっとも「重い」ガム。

「生きていてもいいですか」ガム。
漆黒の背景からぼんやり浮き上がるその文字。
うらみ・ま~す~~!!あんたのこと~死ぬまで~~~!!!

密かにうらんでいる相手へのお土産にピッタリ! 笑顔でどうぞ、って。うはははははは。

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こうして並べると、上から頭文字をとって「な・か・じ・ま」になる!
アルバム「中島みゆき」「回帰熱」「時代」「真夜中の動物園」。
名前は「ゆ」から始まるタイトルがないので作れず。

「ゆ」から始まる中島みゆきのアルバムタイトル…
「夢物語」・「許し難い者へ」・「ゆく年くる年」・「有効期限あと1日」・「湯快爽快」…こりゃあダメだ。

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いきおい思いついて、メッセージ4コマ漫画風の配列を作る。上からアルバム、

「親愛なる者へ」
「恋文」
「ⅠLove You、答えてくれ」
「愛していると云ってくれ」

貴方のこと好きなの、どうしようもないの、だから何とか言って~!!
こうしてラブレターという名の脅迫状が出来上がる。
受け取るだけ受け取るわ、で、後始末。

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中島みゆきTOUR2010はこの10タイトルからの選曲で構成。

この10箱を噛みしめれば噛みしめるほど、コンサートツアーが充実する!に、違いない!

惜しむらくはこの商品は駄菓子のガムなので、
みゆきさんの1曲を聴き終わらないうちにガムの味がなくなってしまう。
あとはガムと想像を膨らませるのみ。

噛んだガムは紙に包んでくずかごへ。


おめもじでした。
タグ:中島みゆき

中島みゆきツアー 夜の動物園に龍がやってきた。 [Mの音楽]

実を言うと、「中島みゆきツアー2010」の開催発表当初はさほど期待感がなかった。

そのころはちょうど、「中島みゆき熱」がすっかり落ち着いていたため、せっかくなら見に行こうというくらいの気持ちでチケットを申し込んでいた。

それは前年の夜会があんまりにも強烈だったために起こった反動みたいなものでもあったのだけど、それはちょっと浅はかだったと今は思う。


コンサートツアーで聴けたらいいな、と思っていた「銀の龍の背に乗って」と「真夜中の動物園」が生で聴けたのは本当にうれしかった。

今回のコンサートは間に15分の休憩をはさんでおり、第2幕とも言える休憩明けの8曲目は「真夜中の動物園」だった。

コンサート再開のブザーとともに会場の照明が落とされる。

暗がりの中、「真夜中の動物園」のイントロの”コォーン…コォーン…”という鐘の音が鳴り響く。

ちょうど、この鐘の音がまさしく始まりの合図のような雰囲気を帯びていて、ちょっとゾクゾクした。しだいにステージが幻想的な照明によって照らし出される。

すると、みゆきさんはそれまで歌っていたステージ中央前方から、その後に組まれた階段に片ひざを立てるように座っていた。

衣装も変わり、鮮やかな紅色のドレスにたっぷりとしたファー(毛皮)をまとっていた。やや無機質なステージセットの中でひときわ映える姿だった。

そのままみゆきさんは座ったままで歌い始めた。

やがて曲はすすみ、曲調も盛り上がってくる。

”誰だい ヒトなんか呼んだのは”という歌詞にさしかかった瞬間、照明の転調とともに息を呑むような緊張感のあるムードで空気が張り詰めた感じがした。

そしていよいよクライマックスが歌われる頃になって、とうとうみゆきさんが立ち上がった。立つとは言ってもかがむような姿勢で、ファーを取り去った。

まるで獣が獲物を狙うようなひじをあげた手つき、かがんだ低姿勢を保ったまま、あたりの様子を窺うようにゆっくりと階段を下りて、さきの立ち位置へ帰ってくる。

コーラスによるスキャットもいよいよ高まってくる。

ラスト、高らかに声をあげたみゆきさんの歌い終わりに合わせるように照明もすかさず暗くなり、余韻を残しつつも息を合わせて「真夜中の動物園」の演奏が終わった。

暗転しばらく、みゆきさんがしゃべりだす。

そのとき着ていた紅色の衣装、腰のあたりに赤や黄色や派手な羽の束がタップリついていた。それがみゆきさんの動きに合わせてフサフサ揺れる。

みゆきさんいわく”こんな恰好だから、何言っても説得力がなかろうと、じゃあ次は軽めの曲を”といった紹介で「夢だもの」の演奏は始まった。


そうして11曲目、”新しいアルバムの曲から多く演奏しているけど、新しい曲って、あんまり知れ渡ってないもんだから、お客さん知らないよってな感じになっちゃうから、これなら聞いたことあるんじゃない?”というような紹介のもと始まった曲は「銀の龍の背に乗って」。

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私が初めて買ったみゆきさんのCDは「銀の龍の背に乗って」のシングルだった。

聞いたことあるんじゃない? いやいや、何度聞いたかもうわかりません。

Dr.コトー診療所の主題歌でちょっと有名だし、最近のコンサートでは歌われていないし、今回聴けるんじゃないかな、との期待を寄せつつ臨んだコンサート。

セットリストを調べずに行ったおかげで、いちいち「サプライズ的な気分」に浸れることに。

みゆきさん、「銀の龍の背に乗って」の最後のサビの繰り返しの部分で、スタンドマイクを片手にもう一方の手を風になびかせるように高く掲げていた。

たぶんこれは05年の「中島みゆきライヴ!」のDVDに収録された「銀の龍の背に乗って」の振り付けを再現したものだったんじゃないか、とそのとき思った。

このDVDの映像では、みゆきさんに風を当てて、ドレスの袖飾りがたなびくように、まるで龍に乗って風を受けるようなイメージを想起させる、そんな振り付けがあった。

シングルでは、終わりに「銀の龍の背に乗って」という歌詞をそのまま4回ほど繰り返して終わっていくが、「中島みゆきライヴ!」での同じ箇所は、最後の4回目だけ、調子を変えて高めの歌い方で締めくくっていて、迫力がある。

今回のツアーではその流れを汲み継いだ歌唱と演奏で、しかし一度も味わった事のない情感を込めて、あらためて「銀の龍の背に乗って」を体験できた。


あの歌の持つ強度はいったいなんなのだろう、今まで知っていたものを思い出すと同時に、眠っていた部分まで起こされた気分があるのも、また確かなこと。

本当、すごいなぁ。


おめもじでした。

中島みゆきツアー 意外な楽曲その1 [Mの音楽]

「中島みゆきTOUR2010」、本当に息を呑むような圧倒的なステージでした。

コントートツアーは夜会における書きおろし楽曲の披露ではなく、
発表済みの曲だとはわかっていても、やはり一味もふた味も異なったものに聴こえるのは、
まさにライブの醍醐味。

国際フォーラムホールAの会場内、見渡す限りの空間すべてが、
みゆきさんの歌声と音楽で振動しているのです。

空間そのものが震えているのです。むろんここに自分の体を置くわけですから家のオーディオでCDを聞くのとはわけが違います。

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記憶を頼りに、ステージの様子をIntuos4を使ってざっと絵にしてみました。こそこそ写真を撮るようなさもしい真似はけっしていたしておりません。

みゆきさんが”金がかかってんだか、かかってないんだかわからない”と評した(笑)ステージセットは、くすんだ白ペンキで塗った木枠を模したであろう質感の構造物が4重に並んでいるのが特徴的でした。

それが曲ごとにさまざまなライトアップを受けて空間を演出するのです。

この一見地味で冴えない大きな木枠も、ひとたびライトアップを受けるととてもきれいに映えるのです。特にキレイだー!と思った瞬間のステージを今回描きました。

シルエットとしては「鳥居」を思わせる構造物であり、
幾重にもそびえる姿は伏見稲荷大社などの千本鳥居を彷彿とさせます。
ステージは真夜中の動物園さながら、あっちとこっちの世界の狭間とでも言うべき独特の雰囲気を醸していました。

またステージ中央の奥にも、ヒトの身長くらいの高さの鳥居状の構造物がありました。
こちらは円柱状の打ち放しコンクリートでできたような質感でした。

その構造物の木枠表面はところどころ古びた感じで、ペンキの剥げたような箇所もありました。
2007年のステージセットも古びた鉄骨のようなものが配置してあったような気がします。

「廃墟」的なものをセットにするのは夜会でもしばしばみられます。



今回のコンサート、本当にまさか、あの曲が歌われるとは!と思った方も多いはず。

コンサート開始の第1曲目は「今日以来」と予想通りの流れである意味安心していられたのですが、そんな悠長な気分を吹き飛ばす1曲が披露されました。

タンタンタンタン…タンタンタンタン…静かなピアノ調のイントロで始まる4曲目。

あ、これは「誕生」のイントロだ、なんて思っていたのですが、どこかで有り得ないこと望んじゃいないなんて思い込んでいたのでしょう。

それは「二雙の舟」のイントロでした。

これは夜会のために作られた「夜会」のテーマソングであり、通常のコンサートツアーでは過去一度も歌われることのなかった楽曲でした。みゆきさんもトークでそのように紹介されていました。

これを理解したとき、思わず(ウソ…!)とつぶやかずにいられませんでした。

私はこの曲を初めて聴いた時のことを忘れもしません。

きっかけは3年前、YOUTUBEで「5分でわかる中島みゆきの歴史」という編集動画を観た時、
89年から始まる夜会の映像を背景に「二雙の舟」のサビが流れていました。

(…理想の船?)…最初は大事なところを聴きとれずにいたものの、ほんの数秒のフレーズとメロディが耳から離れなくなり、聴きとれた歌詞で検索をかけてみることでやっと曲の正体を知ることになりました。

それは今まで聴いてきたどの曲ともまったく違う、痛ましく悲しいのに、なんて途方もなく力強い詩を唄うのか、私に「中島みゆき」を本物の歌手として気付かせてくれたのはまぎれもなく「二雙の舟」でした。


そんな曲がまさに目の前で展開していたのです。

二雙の舟は92年アルバム「EAST ASIA」に収録されたアレンジで、
さらに当時録音に参加されていたコーラスの「杉本和世さん」と「坪倉唯子さん」までもがステージ上に立っているのです。

杉本さん坪倉さんともに一部をソロで歌うパートがあるのですが、その瞬間こみあげる情動といったら、もうありません。

幾度となく夜会を彩ってきたフレーズが空間を振動させます。

「二雙の舟」という楽曲、夜会の中ではストーリーに即した歌詞の一部分を唄うことがほとんどで、「フルバージョン」がステージで披露されたのは、およそ20年ぶり。

特に坪倉唯子さんがやや低めの声でソウルフルに歌い上げるその様子を目の前に唖然としました。呼吸が乱れてしまうのと同時に、目にこみ上げるものが。そしてラストのサビがたたみかけています。

うるうるうるる、ため息にも似た呼吸を繰り返しながら、圧倒的な歌唱と演奏を耳と目を凝らして、しかと見届けました。


そしてみゆきさんはステージ左にいったんはけ、すると間奏の間ステージ後ろの背景に「夜会」のモノクロ写真がぼんやりと投影されていました。

第1回らしき瞬間、メイド服を着た第6回らしき瞬間、手を引かれ水流に消えていく第13回らしき写真とともに二雙の舟の演奏は終わっていきました。


やがて白い衣装に着替えたみゆきさん、今までのムードをまるで引き継がずに(笑)軽快なトークをしてくれます。

今回、「二雙の舟」をセットリストに加えたのはなんでかな、と想像するに第15・16回夜会「今晩屋」では二雙の舟が披露されなかったことにもあるのではないか、と思いました。


今回、コンサートツアーのセットリストを予想しましたが、その予想通り良い意味で期待を裏切ってくれ、完全一致とはいきませんでした!

まさか二雙の舟に時代が披露されるなんて、喜ばしい驚きでいっぱいです。


●予想               ●本当
1.今日以来           1.今日以来
2.黄砂に吹かれて       2.翼をあげて
3.信じ難いもの         3.愛が私に命ずること
4.ひとり上手           4.二雙の舟
5.孤独の肖像           5.サバイバルロード
6.ハリネズミだって恋をする  6.時刻表
7.永遠の嘘をついてくれ    7.夜曲
8.永久欠番           8.真夜中の動物園 
9.銀の竜の背に乗って     9.夢だもの
10.真夜中の動物園     10.しあわせ芝居
11.サメの歌          11.銀の竜の背に乗って
12.愛だけを残せ       12.Nobody Is Right
13.愛が私に命ずること   13.顔のない街の中で
14.NOW            14.鷹の歌
15.紅灯の海          15.時代
16.地上の星         
                  -アンコール-
-アンコール-
                  16.悪女
17.負けんもんね       17.たかが愛
18.瞬きもせず


完全一致:1曲
曲目一致:3曲


二雙の舟や真夜中の動物園といった長尺の楽曲が多かったためか、前回よりも曲数こそ減ったものの、それがコンサートのボリュームを左右するようなものには思えません。

来年、2011年にもチケットを用意しているので、ふたたびこのコンサートを体験できるのかと思うと、思わず顔がゆるみます。


二雙の舟


おめもじでした。
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