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アリエッティの洗濯バサミが大事。 [借りぐらしのアリエッティ]

「借りぐらしのアリエッティ」公開からもうすぐ1年、6月17日にDVDとBDで発売になりました。

これから翔の部屋まで登ります。
お久しぶりです。アリエッティとはごぶさたしてました。

私にこれはつけられません。
DVDを買うと、アリエッティの洗濯バサミの髪留めが先着購入特典としてプレゼントされました。

これは公開当時、劇場やローソンなどで販売されていたものとほぼ同じもののようで、
私は買わずに見送っていたのですが、手に入っちゃいました。


この髪留めとして使われる洗濯バサミ、
劇中ではアリエッティの心情を表現する小道具として、うまく機能していたのが印象的です。

アリエッティは常に洗濯バサミを付けているわけではなく、
はじめての”借り”に出向く支度の仕上げとしてはじめて髪留めを付けます。

それまでボリュームのある長い髪をした女の子らしい印象だったのが、
髪をまとめることで、ポニー・テイルになり、活動的な印象に変わります。

”さぁ、いくぞ、”というアリエッティの意気込みが髪型にも表現されているのがわかります。


次に髪留めが用いられるシーンは、
アリエッティを見つけて、小人とコンタクトをとろうとしている翔という少年に対して、
”これ以上関わらないでほしい”という意志表示をするために、
アリエッティが単身、翔の休む家の2階へ向かうときの支度のシーンです。

このときは、はじめての借りの時とは打って変わって、厳しい表情を浮かべています。
アリエッティは不器用ながらも責任感のある女の子です。

アリエッティは翔の部屋の窓のそばのツタの葉の裏に隠れながら、翔とはじめて会話をします。
そのとき、カラスがアリエッティを見つけて飛びかかってくるのですが、
勢いあまったカラスは網戸に首を突っ込み、激しくもがいて暴れます。

すぐそばにいるアリエッティは葉から振り落とされそうになりますが、
翔は葉っぱごとアリエッティを手に包み、自分以外の人間に見つからないように、かくまいます。

このあと、無言でこっそり翔のもとから立ち去るアリエッティでしたが、この翔の振る舞いから、
翔は危害を加えるような人間ではないかもしれない、と思うようになります。

行動を開始するとき、緊張感のあるシーンでは洗濯バサミで髪をまとめてます。
「髪をしばる」それだけで少し気の引き締まった表情が出るのが面白いところです。


アリエッティは物語の後半にさしかかるあたりからずっと、髪留めを付けていますが、
最後の最後にアリエッティは髪留めをはずします。

それはアリエッティと翔との別れのシーンです。

アリエッティたち家族は人間に見つかったがために遠くへ引っ越しをするところで、
翔は、あさってに患っている心臓の手術を控えています。

別れを惜しみながらも、お互いの行く末の健闘を祈り合うような別れ際、
翔は、一粒の角砂糖をアリエッティに手渡します。

それを受け取ったアリエッティはおもむろに頭に付けていた髪留めを外します。
そのとき、ふわっと長い髪が広がります。

髪留めを翔の掌にあずけると、翔の指先を両手に顔をふせて涙します。


洗濯バサミの髪留めは、親しい相手への気持ちを込めた贈り物として手渡され、
翔の前ではじめてほどけさせた長い髪は、翔に対して心ひらいた表れとなり、
翔に抱いた女の子としての淡い恋心が表現されています。


つくづく洗濯バサミのアイデアはよくできているな~、と思います。

キャラクターデザインとしても、頭の特徴的なアクセントになっている上、
髪型をまとめることで活動的な女の子というキャラクターがわかりやすくなり、

洗濯バサミを使うことで、小人であることを明確にし、
その暮らしぶりまでも想像させる小道具として、
洗濯バサミはアリエッティのアイデンティティの一部と言えると思います。

つまり”洗濯バサミはアリエッティの心臓の一部だ、
忘れないよ、ずっと…”ということです。


おめもじでした。

[「アリエッティ」の洗濯ばさみ付]借りぐらしのアリエッティ [DVD]



タグ:映画

「SongBook Vol.2」というラブ・レター [借りぐらしのアリエッティ]

セシル・コルベルさんのオリジナルアルバム「SongBook Vol.2」を聴きました。

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このアルバムはセシルさんが「借りぐらしのアリエッティ」の映画音楽を担当するきっかけとなった1枚で、ジブリへの手紙と共に贈られたそうです。

この夏、セシルさんのオリジナルアルバムは日本国向けにヤマハから改めてリリースされたようです。
その解説・訳詞付き、そして日本盤ボーナストラックが1曲追加されたものを今回手にしました。


まず歌詞をそばに聴いてみて思うのは、ひとつひとつの歌に物語性がある、ということ。

それら楽曲の印象は、何かの伝記・絵本やおとぎ話を読むような感覚に近いものがあり、
歌の中にそれぞれ割り振られた役者と語り手の存在が浮かぶかのようでした。

SongBook、歌の本というタイトルを考えるとしっくりくる感じがします。


民話や伝統歌など、土着の文化や歴史から多くのインスピレーションを得ているであろうセシルさんの曲作り。

生まれた環境の文化や伝統、そういったベースとなるバックグラウンドにセシルさん独自の音楽的エッセンスが加わる事で確かなオリジナリティが生まれている感じがしました。


最近オリジナリティって何なのかを考えるんですが、一見オリジナリティって何か「突拍子もない新しさ」のように思えてしまって、その人にだけ幸運の女神が舞い降りたかのような捉えられ方をされることってあるかもって思うんです。

ですが真にオリジナリティを発揮する人々は自分の生まれた国や地域、気候、文化などそういった無形のものを自分のアイデンティティの基礎としてもっていて、それを認めた上で自らの感受性でそれをアレンジして、いろんな分野に組み込んでいく…うまく表現できないのですがそんな感じがします。

つまりオリジナリティはその人の生来の感性の地続きのところでしか生まれない、決して「突拍子もない新しさ」でオリジナリティは説明できない、というのが私の最近のオリジナリティ論です。

このぐらいで話を戻します。


このアルバムでは、少なくとも2種類以上の言語で歌詞が作られていて、
私は英語の歌詞であればなんとかそれなりに理解が及ぶのですが、
フランス語系の歌詞は、最初まったくわかりませんでした。

歌詞カードを見てもどこを歌っているのか見当もつかず、メロディの雰囲気を感じるだけでした。

このアルバムで私が一番気に入っている「I see the great mountains」、邦題「望郷」という曲は英語とフランス語系の二言語で作られています。

邦楽でも、英単語が混じってくる曲は数多くありますが、英詩にさらに日本語以外の他言語が混じった歌をまともに聴くのは初めてだったので、私の脳みその言語野がしばし混乱しました。

しかしフランス語系歌詞も慣れてくると、だんだん聴きとりだけはできるようになるもので、歌詞カードを見ながら歌を追いかけるくらいはできるようなっていました。


最初、アリエッティから離れたところでもセシルさんの歌を楽しめるのか、はっきりわからず「SongBook Vol.2」を買ったのですが、聞いていて鳥肌が立つような瞬間もあったりして、これから楽しめそうな一枚になっていきそうです。

アリエッティの米林監督はよくこのCDを聴きながら仕事していたそうです。

物語性の強いセシルさんの歌が想像力を膨らませるのに一役買ったのかもしれない、
などと思いながら私はまた少し新しい音楽の扉を開きつつあるようです。


先日のセシルさんのオペラシティのコンサート会場でこのアルバムを買った時、クリアファイルをもらいました。
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そのデザインが意図的なのかたまたまなのか、コンサートのパンフレットをしまうと、パンフの緑のツタのデザインが透けて映り、イラストのフレームにピッタリ合うのです。

そうですね、こうやって大切にしてくださいね、というメッセージだと受け取っておきます。


おめもじでした。

SongBooK vol.2(国内盤限定ボーナストラック収録)


タグ:音楽 考える

種田陽平展 ~小人の暮らす世界へ~ [借りぐらしのアリエッティ]

先日、東京都現代美術館で開催中の「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展」に行って参りました。

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この展覧会では、映画の主な舞台となる「床下の小人の家」が私たち人間サイズに合わせて作られており、あたかも自分が小人になったかのような体験をすることができます。

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美術館の中に入り展示の入口を探そうとしていると、受付の方が私のカバンを預かりましょうか、と声をかけてくださいました。

後になって振り返ると預かってもらっておいて大正解でした。そして私は「展覧会のチケット」をカバンにしまったまま預けてしまうという失態を披露しました。


ともあれ同館3階の入場口へ。

チケットをもぎってもらうのと引き換えに「ミニ本2 吉田昇美術ボード集」をもらいました。

入口すぐのところに「音声ガイド」の貸出ブースがあり、これを500円で「借り」ました。音声はアリエッティで翔の声を演じた神木隆之介さんです。実はこれけっこうおもしろい仕掛けも施してあって、ただ展示の説明を聞いたりするだけではないインタラクティブなガイドです。


展示入口に続く道は照明が最低限に落としてあり、床下をイメージさせるような暗さが広がり、ちょっとしたお化け屋敷にでも入るような「暗さの魅力」がありました。

床下への入り口は映画と同じ「格子」のすきまから。これは雰囲気抜群です。

格子が小人視点で巨大に作られており、格子のサビ具合やコンクリートやレンガの質感がきめ細かく再現されており、アニメ映画の再現ではなく、実写映画のセットを作るようにという方向性が表れています。


まず驚いたのが家の表玄関の表札を掲げる目玉クリップが特大サイズ!両手で抱えるくらいの大きさでバネもしっかり作られているのを観て、たちまちテンションが上がりました。

そしてアリエッティの部屋のあたりへ踏み込んだ瞬間、音声ガイドのヘッドフォンから音楽(!)が聞こえてきました。

なんと部屋のシュチュエーションにあわせて映画のBGMが自動的に再生されるようで、展示の雰囲気を盛り上げてくれます。

他にも水屋に行くとヘッドフォンから水の滴る効果音が、借りに行く時に使うエレベーター装置のある吹き抜けではワイヤーの巻き取り音や上昇音が、ポッド(アリエッティのお父さん)の作業部屋ではハンダ付けの作業音などなど、実際に映画で使われている効果音が再生されます。

特定の場所に行くと、その場所に合わせた音楽・効果音の信号を音声ガイドのセンサーが受信するしかけらしく、これは映画を観ているとなおのこと面白いです。

音声ガイドを利用している人をあまり見かけませんでしたが、これはとても楽しいアイデアでした。


普段、ごく当たり前にある日用品がとても大きい、ただそれだけなのにとても新鮮でした。

コーラの瓶のフタに穴をあけて逆さまに吊るして物入れにしたり、お弁当などに使われるアルミの小さなおかず入れを逆さまにしてランプシェードにするなど、物の使い方の工夫が随所にあり、観察すればするほど発見がありました。

それと、床下の家の壁の低いところに色んなラクガキがあります。

映画の美術設定にはないのですが、アリエッティが小さい頃にやったことを想像させるラクガキが実はかなりあります。

クレヨンのようなもので主に動植物が書いてあり、中にはダンゴムシ2匹が向かい合う間にピンクのハート♥が添えられているような、チャーミングで楽しいラキガキもありました。

会場全体がやや薄暗いので気付いている人も少なかったようですが、ラクガキ探しも面白いです。


床下の家を出ると、今度はまた格子のあいだを抜けて庭に出ることができます。

薄暗かった床下の家とは打って変わり、外をイメージさせる明るい場所に、庭に生えている草木が所狭しと展示されていました。

サイズが大きいので一種のジャングルのような雰囲気であり、草木の奥からは送風機で風が起こっており、屋内でありながら外の雰囲気を演出していました。

さらには草木に交じってテントウムシやアリ、バッタなども潜んでおり、そのバッタの触角が本当に動いたりするので、虫が嫌いな人は悲鳴をあげているのではないかと思います。

床も硬いコンサートのような質感ではなく、どこか土を連想させるような踏みごたえのある素材の床でした。


小人の世界の展示の後は映画美術の種田陽平さんの過去の仕事の紹介などの展示になりました。

え、これも?この映画も?といった私でも聞いたことのある観たことのある映画のセットを手掛けていた事を知り、ちょっとした驚きがありました。

「西の魔女が死んだ」という映画の舞台のセットも手掛けているのですが、この映画とアリエッティの冒頭のシーンはよく似ていたりします。

車で祖母の家に行く「翔」、車で祖母の家に行く「まい」どちらも心身の患い野療養的な目的で、単身静かな土地の暮らしをしにいくなんてところなど、共通点があります。

音声ガイドの内容はかなり充実していて、正直すべてを聞ききれませんでしたが、十分でした。種田さんのインタビューはもちろん、鈴木プロデューサーや米林監督のコメントも録音されていて音声ガイドのおかげもあってかなり楽しめました。

二時間半ほどかけて展示を観て回りました。

最後にグッズ物販のコーナーがあり、いくつか買って帰りました。その中には「大きい物シリーズ」というでっかい鉛筆や定規歯ブラシなどが2~4万円くらいで売っていました。なんと歯ブラシは売れていました。

さらに受注生産品で、床下の家の精巧なミニチュアがリビングと作業部屋の2種類がそれぞれ30万円と24万円で買えたりもしました。

それらは見るだけにしましたが、いくつかグッズを買いました。あまり物を増やすまいとは考えているのですが。

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展覧会の図録。表紙カバーがワイドなポスターになっていました。

この図録はミクシィの「借りぐらしパズル」というアプリのパズルを完成させた写真を提示すると図録の10%割引が受けられます。この場を「借り」てパズル完成に毎日協力してくれたマイミクシィの方に御礼申し上げます。

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ミニ本シリーズの第3弾、デザイン集。これは図録を買うと1冊プレゼントされるようで、ミニ本2に掲載された美術背景に書かれている模様やデザインをアップにして掲載したものです。

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切手風ポスターを壁に貼ってみました。フチがギザギザになっていたり、消印が押してあったりする面白いポスターです。

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金平糖です。「野イチゴ味」です。
角砂糖でも売っているかと思っていたらクッキー・サブレといった焼き菓子系お土産はなく食べられるお土産はおそらくこれだけでした。


種田陽平展、とても楽しめました。

「視点の違い」を客観的に見たり、それを楽しむ、ということは日常なかなかありません。

見かた、捉え方一つでこんなにも世界が変わって見えるものか、と新鮮な体験ができました。

普段自分が見ている世界は自分が見たいようにしか見ていない、自分が見ているのと同じように他者が見ているなどと思い込んでしまうと、世界や認識はどうしても狭まり、面白くない事態を招いたりします。

一人ではわからないこと、同じものばかりではわからないこと、気付くべき何かがあるんだな、と思いました。


床下の家を見て「こんなとこに住んでみたいな~」と言っていたお客さんがいましたが、たぶん大変ですよ。隠れ住むって。


おめもじでした。
タグ:イベント

セシル・コルベルコンサート、ハープと5つの弦楽器 [借りぐらしのアリエッティ]

昨日8月4日、私は「借りぐらしのアリエッティ公開記念 セシル・コルベルコンサート」と「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展」を観に行くという、アリエッティ的フルコースを堪能して参りました。

今日は東京オペラシティコンサートホールでのセシルさんのコンサートについて。
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最寄りの初台駅から直接建物に入れるオペラシティ、その3階にコンサート会場がありました。

その会場のロビーにはなんと久石譲さんの花がありました。
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改めて良く見るとピンクや赤の花の色を際立たせているその緑は間違いなく「モンステラ」です。「モンステラ」ですよ、久石譲さん。いいですね、とっても。


コンサートホールの天井は平面ではなく、とがった三角形の合掌造りのような、しかし雰囲気的には西洋の教会をイメージさせる天井だったのが印象的でした。

この日の私の席はほぼ一番後ろの端でした。

きっと私がブルターニュ祭でセシルさんの演奏をほぼ最前列に陣取って鑑賞できたことに対する正負の法則が働いたのでしょう。そう思っておくことにします。


まもなく会場が暗くなり、セシルバンドの面々がステージに着席したのち、鮮やかな赤いドレスを纏ったセシルさんが左手側から登場しました。

おそらく今回も「はだし」だったのだろうと思います。席が遠かったためあくまで想像ですが、冬でなくてよかったですね、と勝手に安心していました。

演奏の前にセシルさんがひとこと。「暑いデスネ。」  …(笑)


コンサートは休憩をはさんでの2部構成。

前半は借りぐらしのアリエッティのために用意された楽曲が、後半はセシルさんのオリジナル・アルバムからの曲やヨーロッパの伝統歌などを中心に最後に再びアリエッティ関連の楽曲でしめくくる流れのセットリストでした。

しかしセシルさんのライブはきっちりセットリスト通りにやるわけではないことに理解があったので、何かあるのかな…と思ったらやっぱり何かあったんですね!これが。


コンサートの第1曲目はプログラム通りアリエッティからの「もう一つの世界」という曲。演奏中は曲目ごとにステージバックの壁面に動きのあるライトアップがされるので、曲が始まったとたん空気ががらっと変わりました。

その次には主題歌「Arrietty's Song」。今回はチェロやバイオリン、コ-ラス、パーカションの方も加わっていたので、より立体的で濃密な演奏を聞くことができました。


そうして6曲ほど演奏された後に何やら「ゲスト」をお呼びしているとのこと…そこで登場したのは、

「米林宏昌監督」と「志田未来さん」。

事前に予告がなかったので、おぉ!です。なんと監督とアリエッティが登場しました。

また、鈴木敏夫プロデューサーも中央あたりの席で鑑賞していたらしく、ちらっと紹介されたときに手をふっておられるのが私からも見えました。


ここで数十分のあいだ、セシルさんや米林監督を中心にインタビュートークのような展開になりました。

その中で、今の気分でアリエッティ以外に好きなジブリ作品は何ですか?という質問がセシルさんと米林監督、志田未来さんに向けられました。

セシルさんの回答は「魔女の宅急便」。 志田さんは「天空の城ラピュタ」。 米林監督は「耳をすませば」。

セシルさんが日本に来ていろんな所へ回り、いろんな体験をしている状況が、キキが空を飛びながら色々な経験をする…という気持ちと重なるようなことをおっしゃっておりました。

志田さんはシータが目玉焼きを食べるシーンが美味しそうで好き、と言っていましたあたり、もしかしたら今の気分にあてはめると、ちょっとおなかがすいていたのかも、と想像しました。

米林監督は耳をすませばという「胸キュン」な青春映画を観て、ジブリに入ろうと決意されたそうです。

そしてセシルさんへ、志田さんから花束が、米林監督から感謝の気持ちを込めて鈴木プロデューサーのコメント入り直筆イラストをプレゼントされていました。

この米林監督のプレゼントイラストは観覧者に配布されたパンフレットにも大きく掲載されていました。
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セシルさんは米林監督のイラストを見て「シンプルな線でハープの特徴がよく捉えられています」、とコメントされていました。


ゲストの退場後、コンサートが再開、嬉しくて手が震えて演奏できるか心配だ、と言っていたセシルさんは見事な演奏を披露。そして休憩をはさんで後半へ。

後半一曲目は「Ma Zatt」、お父さんという意味のタイトルのセシルさんが好きなアーティストさんの楽曲の演奏でした。ブルターニュ祭でも演奏されていた曲なので、とても思い入れのある曲だとうかがえます。

セシルさんのハープ、どうやら日本の気候にたいして「ワガママ」を言っているそうで、数曲の演奏ごとに調律し直さなければならない様子で、何回か曲の間にそれを行っている様子でした。

高温多湿、日本の夏の気候、弦やハープの材木への影響は少なくないのでしょう。

調律の際のセシルさんいわく、”私のハープは弦の数が多くて、後ろで演奏されている楽器(ギター、ヴァイオリンその他)の弦はハープに比べて少ないので、私は損をしています”とユーモアまじりのコメントもその間に聞けました。

その後も演奏がすすみ、ここでちょっとジブリの世界に戻りましょう、と新しい演奏が始まりました。

…お!? おっ! 聞いたことのあるメロディ、すぐにわかりました。

「となりのトトロ」に使われている久石譲さん作曲の「風のとおり道」(!)

この曲はメイが初めてトトロに逢ったあと、お父さんがサツキも連れてトトロの棲む大木に挨拶しにいくシーンや、お風呂でうるさくされて「まっくろくろすけ」が天に向かって家から離れていくシーンで使われていた印象的で大好きな曲です。

ライトアップも緑色の木が生えて伸びていくような動きをしたトトロイメージのものになっていました。

あのメロディがセシルさんのハープによって奏でられ、曲の後半はセシルさんがメロディをスキャットで歌っていました。(ラルラ…ラリラ…ララララララララララランルリラ…という歌い方)

「風のとおり道」はセットリストにはなかったのでサプライズ効果抜群の楽曲でした。

これを聞いていたら、「久石譲プロデュース、ハープで奏でるジブリソング」という企画CDが出るんじゃないか、というプロジェクトを期待してしまいました。


セットリストのラストは「グッバイ・マイ・フレンド」というアリエッティサウンドトラック収録の曲で、またお会いできることを願ってと演奏されました。

この演奏後拍手の中、自然とアンコールになり一度退場したセシルさんらが戻ってきました。

セシルさんによってバンドのメンバー紹介がされました。ある人は日本に来てプレゼントをもらったり女の子にモテている、など、楽しい旅がしたければジル(バンドの一人)を連れていくとよいとか、またまたユーモアまじりに紹介がすすみ本当にコンサート最後の1曲になりました。

それは主題歌「Arrietty's Song」の英語歌詞バージョンでした。

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演奏後、拍手の中おじぎをしてセシルさんらが退場していきました。

セシルさんの楽曲はアリエッティとは切っても切れない、魂の一部のようなものだと米林監督がおっしゃっていました。



おめもじでした。

風通しのいいジブリスタイル [借りぐらしのアリエッティ]

借りぐらしのアリエッティ公開に合わせ、いくつかの雑誌でボリューミーなジブリ特集が組まれており、
数々のインタビューや紹介記事が誌面を賑わせていました。

ふだんは滅多に雑誌は買わないのですが、今回ばかりは例外的に初めて買った雑誌がありました。

それが「MOVIEぴあ」と「BRUTUS(ブルータス)」の二誌。

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こちらは「MOVIEぴあ」という映画情報雑誌で、宮崎駿監督への7ページにもわたるインタビュー記事や過去のジブリ作品のポスターやジブリ映画作品の新聞記事のキャッチコピーの変遷を紹介した特集などが組まれていました。

そしてなにより付録に新しいアリエッティ関連のミニ本が一冊ついてくるという情報が、
購入の大きな動機になりました。
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「50の秘密」と題されたこのミニ本は、映画公開日まで毎日更新された「スタジオジブリ広報部長・西岡純一のアリエッティ日記」というブログの内容に基づいて編集された1冊とのことで、
今までのイラストや絵画メインのミニ本とは異なり、まさに読むための本といった具合でした。

小さいながらも100P超のボリュームで、製作の舞台裏、公開までの話が多岐にわたり紹介されており、一部の記事はオフィシャルサイトにも掲載されているようですが、そこに載せきれない数々の背景がうかがえ、借りぐらしのアリエッティにハマっている私にはとても読みごたえのある嬉しい付録でした。

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こちらはブルータス。

実を言うとミニ本目当てでさきの「MOVIEぴあ」を探していたところ、アリエッティつながりでブルータスを発見、記事がとても充実していて、持って帰ってじっくり読みたいな!と、珍しく「衝動買い」をしました。

その気合の入った特集記事には、「スタジオジブリ」という会社そのものを紹介するものもありました。

スタジオジブリでは社内恋愛OK、ということまで誌面に紹介されていました。
オープンマインドな社風が感じられます。

アリエッティの米林監督と鈴木プロデューサーの対談形式のインタビューのやり取りからは米林監督の人柄やその実力がうかがえ、新監督を起用したことにまつわる話を中心にまとめられていました。


それらジブリ特集の中の12ページは、他のページとは異なるしっかりした紙質で用意された、
宮崎駿監督インタビューが載っていました。映画の公開前後は本当にお忙しいようで。
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インタビューの場所は宮崎監督が仕事場としている二馬力という建物。

いまさらながらジブリ映画の冒頭などに小さくでてくる「二馬力」ってなんだろう、と思っていたのですがやっとわかりました。

そんなことはさておき、この記事ではその二馬力の書斎などが篠山紀信さん撮影の写真で公開されているのです!

いくつもの資料や蔵書を抱えた壁に並ぶ本棚。

緑映す窓のたもとに置かれたソファとブランケット。

BGM用であろう音楽CDが並ぶ大きなサイドテーブル。

その中央の机に座る宮崎監督。絵になっています。


ところで机の上の本やCD、仕事道具の文房具もきっちり整理整頓されているかと言うと、そうでもありません。

しかし、書斎には必要なもの以外の余計なものはほとんどないように見えますし、
床にはスリッパや絨毯以外にいっさい物が置かれていないように見えます。

一流の仕事場には無用で過度な乱雑さはありませんでした。

宮崎監督があれだけの大作やヒットを生み出せる要因のひとつには、あくまでひとつとして、過去からの脱却や切り替えがうまい、またはその努力をしている…ことにあるのではないか、と感じました。


スタジオジブリでは、”空気の入れ替え”を大切にしている宮崎監督の意向で、
作品作りの前後などに仕事場やスタッフの「席替え」をよく行うそうです。

また、最近「風の谷のナウシカ」がブルーレイディスク規格で発売されました。

そのときブルーレイ化にあたり、当時の話が紹介された記事を読んだのですが、
宮崎監督はナウシカの公開後、そのナウシカの映画のネガ・フィルムを捨てようと(!)したそうです。

もう映画が公開されたあとには必要ない、という理由だったそうですが、鈴木プロデューサーはあやうく棄却されそうになったフィルムを保護した、というようなエピソードがあったらしいのです。

また、宮崎監督は完成公開後には自身の作品を観ることはない、とも語られていました。

色々理由があるようですが、とにかくこれらの話から察するに作品へのこだわりは並々ならぬものがありつつも、不必要に過去へのこだわりを持たない人柄がうかがえます。

また宮崎監督は「即決」の人だそうです。

ちょっとした思い付きを提案されてもピン!と良いと思ったらすぐに決めて実行するなど、
過去への執着は薄いし、未来へはポン!と進路を決めていくあたり、
なかなか真似のできることではありません。

その迷いのなさ、考える前に行動するスタイルは宮崎監督の作品の中の主人公によく表れている気がします。


米林監督の描く主人公、アリエッティはちょっと考えてから行動するタイプだと言われていました。
映画では、しっかり決意してから行動に移る…という印象があるので、確かにうなずけます。


今回の借りぐらしのアリエッティの特修記事を通して、色々と興味深いものを読むことができました。

おめもじでした。

MOVIEぴあ2010夏号 2010年 8/20号 [雑誌]



タグ:整理論 読書

翔とアリエッティがつむぐ別れ [借りぐらしのアリエッティ]

昨日7月17日、「借りぐらしのアリエッティ」を観て参りました。

早めに断っておきたいことは、前回の記事で私が予想したストーリーは見事に空ぶっていた…(!)ということです。めでたしめでたし。

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この物語にはアリエッティ達小人が暮らしていた古い家に病気療養のために訪れる「翔」という12歳の人間の少年が登場します。

アリエッティは最初にこの翔に姿を見られてしまい、これをきっかけに物語が動いていくことになります。

私が予想していた話では、三角関係から生じた嫉妬で翔が小人達にイジワルな態度をとるかもしれない…などと書いてしまいましたが、完全に邪推でした。

翔は終始、小人達にたいして好意的であり、多少の行き違いでもつれることがありつつも、害意をもって接するような態度は一切ありませんでした。

心臓を患いながらもそれを省みず、小人たちのために必死に奔走する姿を見ていると、翔にはひとこと謝りたい気分になりました。

ごめんなさい。


つぎにアリエッティと翔、そしてスピラーという小人の少年から成るであろうとふんだ「三角関係」の話。

米林監督が三角関係についてコメントされていたらしいのですが、どうも物語の中では特に目立った三角関係という描写はなかったように思います。

なにより翔とスピラーが直接出会う事はなく、スピラーはアリエッティたち家族を助けたり、導いたりするようなサポーターとしての役割が目立ちました。


物語の終わりにスピラーがアリエッティに好意的な態度で接していた描写と、アリエッティが別れを告げた翔にたいして抱いた恋心とを考えると、三角関係と言えなくもない心情はあるのかもしれません。

しかし全体の話の流れを見ていると、そういった見解をはさむのは少々野暮、であると思いました。


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映画を見るとこの写真が意味するところがお分かりいただけると思います。

物語の複線でもありクライマックスを飾る大切な小道具です。

別れ際の翔とアリエッティ達のやり取りはとても切なくもあたたかいもので、今までのジブリ作品にはない情感豊かな悲しさと力強さを感じました。

ジブリの過去の宮崎監督作品のラストでは別れよりも再会や確かに生まれた絆を祝福するような明るいイメージがありますが、米林監督の今作ではけっして手放しでは喜ぶことのできない切ない別れが際立ちました。


末永く元気でいてね、と翔に別れを告げたアリエッティ。

自分の一部になったものを忘れることはない、とアリエッティに告げた翔。


どうか、お互いに出会えた事を忘れず力強く生き抜いてほしい、と願わずにはいられません。

また、観に行こうと思います。

おめもじでした。
タグ:映画

もうひとりの小人「スピラー」 [借りぐらしのアリエッティ]

ジブリ新作、「借りぐらしのアリエッティ」公開まであと3日になりました。

楽しみなので試写会に応募していましたが現在まったくの音沙汰なし、おとなしく公開を待つことにします。

気が付けば映画前売り券をはじめとする、種田陽平展、セシル・コルベルコンサート、といったアリエッティ関連のチケットが3枚も手元にあります。
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公開前からこれほど楽しみになった映画というのは初めてで、2月にアリエッティ公開情報を知りセシル・コルベルさんの主題歌を聞いた時から、かなり前倒しでこの映画のファンになっていました。
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ちょっとここで公開前に「借りぐらしのアリエッティ」の内容を想像してみたいと思います。

この映画に登場するキャラクターに「スピラー」というアリエッティと同じ小人の少年がいるようなのですが、このスピラーは原作メアリー・ノートン著「床下の小人たち」には登場しないキャラクターです。

床下の小人たちの続刊、「野に出た小人たち」から初めて登場するキャラクターで、いったい物語にどのように関わってくるのか、事前に内容を知りすぎないためにあえて、「野に出た小人たち」を読んでいない私にとっては興味深い存在です。

ここでヒントにしたのは、三角関係を描きたいという米林監督のコメント

そしてイメージ歌集アルバム「借りぐらし」に収録された「スピラー」という楽曲の歌詞。

これらを踏まえて私が予想するスピラーのストーリーは。


アリエッティはお父さんと一緒であれば、外に出ることを許されて床下から外に出ます。

そして思いっきり「外の世界」を謳歌している時にふと、野で生活する「スピラー」と出会います。

話では自分たち家族以外にも小人はいろんなところに住んでいたことを知っていましたが、実際に会うのはスピラーが初めて。

外の世界に強い興味と好奇心を抱くアリエッティにとって、外で暮らしているスピラーはその憧れを象徴するかのような存在。

やがてふたりはお互いに仲良くなり、スピラーは床下の家へ招かれるようにもなっていきます。

そのできごとと並行して。

アリエッティ達が住む家に病気療養のためにやってきた「翔」という人間の少年が、借りをしている最中のアリエッティを見つけてしまいます。

ですが、アリエッティが話に聞いていた人間の印象よりも翔は、小人の事を恐れずむしろ好意的なふるまいをします。

初めはやや恐る恐る、コミュニケーションをとっていたアリエッティもしだいに翔の事を信頼するようになり、お互いに好意を持つようになってきます。

そんなとき。

翔はアリエッティにはスピラーという仲のいい同じ小人の少年がいることを知ってしまい、翔はスピラーに嫉妬してしまいます。三角関係の発生です。

翔は嫉妬からスピラーに対して少々意地の悪い態度、行動をとるようになってしまい、それをアリエッティは悲しみます。

本当は人間とも理解しあえることを考えているアリエッティは、小人と人間どうしお互いに理解しあうための橋渡し役として周りに働きかけていくようになっていく…。


このようにスピラーはアリエッティと翔の関係にひと波乱を起こす、と予想しています。

その波乱を乗り越えることで、人間と小人同士の理解がいっそう深まるシーンを演出するためにスピラーというキャラクターが登場するのではないか、と想像しています。


補足として以上のスピラーについての話はすべて、私の「想像」によるものです。現時点で私は映画を観ていません。

原作の話の内容や拾える情報をもとに予想して、観た後でこの予想と比較して楽しむための内容ですので、あしからず。

うまいこと外れてくれた方が面白そうだと思ってもいます。

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7月10日に日本テレビ特番『「借りぐらしのアリエッティ」公開記念特番 ジブリ作品の源流を探る旅』が放映されました。

アリエッティとジブリ作品にゆかりのあるヨーロッパ地方をめぐりながら、その地方の文化・歴史や原作「床下の小人たち」のことなどが紹介されていました。

5月に行ったブルターニュ祭の主催のブルトン・デュ・ジャポン協会さんからこの特番情報をメールでいただきました。チケットを用意するためだけのアドレス登録と思いきやこのようなアフターサービス(?)が充実しているのでありがたいと思います。

この特番の後半にはセシルさんも登場し、ご出身のブルターニュ地方の文化や歴史の事などを語られていました。

なんといいますか、セシルさん。

森を歩く姿やガレット(そば粉のクレープ)を召し上がる姿、ものすごく絵になっていてとても素敵でした。


おめもじでした。

借りぐらし Kari‐Gurashiの手触り [借りぐらしのアリエッティ]

先日のブルターニュ祭の会場で、借りぐらしのアリエッティのイメージ歌集アルバムを買いました。

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全14曲収録、歌うは主題歌と同じくセシル・コルベルさん。

主題歌シングルを発売日に買った時には、もちろんこのアルバムの存在は知っていたのですが、
シングルでだいぶ満足していたので、購入は様子見でした。

メアリー・ノートン著の原作「床下の小人たち」を読んでいたおかげで、歌詞の意味するところが半分わかる、半分まだはっきりしない、というイメージ膨らまし放題な状態で楽しく聴けております。

現時点では原作をまったく知らないとおそらくピンとこない楽曲もあるかもしれません。
しかし登場人物の関係もそこはかとなく、浮き上がってくる感じです。
どういった起承転結がつむがれていくのか、原作とは趣の異なる展開が漂ってくる感じです。


出会いが人の心を変え、強くし、そして来るべき別れを迎え、各々が大切なものを胸に刻んで歩んでいく…
このアルバムを聞いて湧きあがってくる一番強い印象です。

7曲目「はじめての”借り”」、12曲目「ドールハウス」などは特に歌詞に家の中の情景描写が多く、
暗い中でろうそくが灯っている、とかドールハウスのテーブルセットが本物みたいだ、などなど「物」が好きな私にとってはプラスアルファで想像が膨らみ妙に気分が高揚する部分だったりします。

流行りのヒットチャートにはなかなかない、一見淡々としたような情景描写を綴る歌詞。

でもこれが良い小説を読んだ後のさわやかな読後感にも似た、何とも言えない聴き心地。

もちろん登場人物の心情を歌うものもあり、情感豊かな楽曲が揃っています。じわじわと沁みてきます。


それとこのCDを買ったブルターニュ祭の会場ではこんなミニ本がもらえました。

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「吉田昇美術ボード集」というこれまた小人サイズの小さな本。
このアルバム購入の動機はこれが決め手になりました。

映画前売り券の特典のイメージボード集に続くミニ本第2弾のようです。

この本では主に室内用の背景美術が多く掲載されており、小人視点の私たちにとってはどこか見慣れない一種独特な雰囲気の美術ボードが見られます。

それと室内のさまざまな道具や間取り、仕組みなどキャラクターの演技と絡めて検討するようなラフイラストも数点。こういうの好きです。

さらに巻末には「美術監督・武重洋二インタビュー」があり、美術の視点から見た借りぐらしのアリエッティへのコメントが6Pにわたって掲載されています。


今現在このミニ本2はあまり出回っていない(?)ようです。

もしもブルターニュ祭に行く前にアルバム「借りぐらし」を買っていたら、
このミニ本のために同じCDを2度買っていたかもしれないので、
変にがっついてCDを求めなくてよかったと心底思いました。

しかしミニ本のアイデアは面白いですね。
ちっちゃな本がずらっと並ぶ様子を想像すると何か、こう、たまらないものがあります。

これらミニ本を片手に、イメージ歌集を聴くと歌の世界も絵の世界にもお互いに共鳴しあって、
奥行きが増していくのが心地いいです。
これは映画本編でまだ分からない事が多い今の時期だけの貴重な楽しさです。

なぜでしょうか。ひとつ完成された作品を観た後では味わえなくなるものってどうしてもある気がします。

公開は楽しみなのはもちろんです。
が、頭の中だけで盛り上げ過ぎぬように気分は控えめで公開をじっくり待ちたいと思います。


おめもじでした。

Kari-gurashi~借りぐらし~(借りぐらしのアリエッティ・イメージ歌集アルバム)


タグ:音楽

ブルターニュ祭・聖イヴ2010、セシルさんに会う [借りぐらしのアリエッティ]

Bonsoir.こんばんわ。

昨日5月14日は恵比寿・日仏会館でのブルターニュ祭・聖イヴ2010に行きました。
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このお祭りではセシル・コルベルさんのコンサートがなんと1000円で参加できるというので4月に予約をしていました。

セシルさんが歌う、ジブリ最新作「借りぐらしのアリエッティ」の主題歌、「Arrietty`s Song」にガツンとやられた私は、この日を楽しみにしていました。

このお祭りの主催は日本と交流のあるフランス・ブルターニュ地方の方々のようで、ホームページにもメールにもたくさんフランス語がちりばめられており(!)フランス語になじみのない私でもきちんと参加できるのか、少々気になるところでした。

念のためフランス語7種類ほどを覚えて行きましたが、会場にいらしたブルトン人らしき方々は日本語を話されていたのでちょっとホッとしました。


入口の受付には、ジブリの鈴木敏夫プロディーサーの大きな献花がありました。会場は思ったよりコンパクトにまとめられていてブルターニュ地方の特産の物販などのコーナーで1フロア、そこから奥行きのあるコンサート用会場につながっているという間取りでした。

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このコンサートステージでセシルさんとクラシックギター&E,ベースの奏者3人の「弦」の演奏が披露されました。

定刻になると、初老の紳士の方がフランス語と日本語を使い分けて挨拶をされ、セシルさん達が現れました。

セシルさんはなんと「裸足」。そして想像よりも小柄な女性でした。

演奏中はハープを抱えて常に片足を上下させてリズムをとっていました。しなやかな指遣いでハープの弦をつまびく様子を見守りました。

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ゴートの頭が彫刻された存在感のある美しさを湛えたハープ。

観客側から見て手前の長い弦ではベースとなる低い音色、短い弦では高い音が奏でられており、音色の強弱はあくまで弦の触れかた次第で、楽器の見た目はドッシリしていても音色はとても繊細な印象でした。

低い音の弦をはじく時にさっと腕が伸び、そっと弦を触れて戻っていく手の動きが好きでした。


プログラムには14曲紹介されていて、その中に「Arrietty`s Song」はなかったのですが、嬉しい事に演奏されました。プログラム用紙に紹介された曲はあくまで参考程度のものらしく、曲順も演奏曲もセシルさんらの裁量にまかせていたようでした。

生演奏の「Arrietty`s Song」ではベースの男性がサビでコーラスを重ねたり、そもそもCDとはまったく違う、音の発生する現場に居合わせる事そのものがたまらない気持ちでした。

ハープというイメージから落ち着きのあるしっとりした楽曲を想像していましたが、リズミカルで軽快な曲調の曲もあり、弦楽器のみの演奏とは思えない豊かな音色が会場に広がっていました。

他にも世界の伝統歌や最新作収録予定の楽曲などが演奏されました。惜しくもセシルさんの話すフランス語は私には雰囲気しかわからず、演奏中の曲が何なのかがよくわかりませんでしたが、演奏後の「ありがとう」という日本語とフランス語はバッチリわかりました。


アンコール演奏もあり、主催のブルトン・デュ・ジャポンの面々とセシルさんの挨拶でコンサートは終わりました。

そのあとセシルさんはステージ端の方で、色んな方と挨拶されていました。そこで私はセシルさんとの記念撮影する人をちょっとだけサポートしつつ、私もしっかりセシルさんとの記念撮影をさせていただきました。

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撮影の際には持参したセシルさんのCDと一緒に。セシルさんもCDを持ってくれました。

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さらにCD付属のSonbookのプロフィールページに直筆のサインをいただきました。イラスト付きの丁寧なサインにAmities(アミティエ)という「友情・友愛・親しみ」といった意味合いのフランス語のメッセージも添えていただき感無量でありました。

そしてセシルさんにMerci beaucoup.どうもありがとう、とこの日の感謝を伝えました。


その後、ブルターニュのお土産としてトマトツナ缶やTシャツ、ガボット(ビスケット)などを買いました。ツナ缶は100円引きしてもらったり、お酒を試飲してみたり、しばらく物販コーナーをうろつきました。

そこで買い物をした恰幅のいいフランス人の方に”メふシィボクゥ”と挨拶するとにっこり笑ってくれました。きっと変な発音だったであろうおかしみも含んでいたとは思いますが、フランスの言葉が通じたのは嬉しかったです。

それとはじめに受付でもらったお土産袋、持ち帰ってみると内容が豪華でした。
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保湿クリーム、海藻パックにポークパテやビスケットなど美容と食に関する物、それといくつかのブルターニュ地方を紹介する冊子、1000円という入場料でこのような準備や催しが実現した裏には多くの人の厚意がありそれゆえに成り立っているのだろうな、とありがたく思いました。

今回はここらへんでAu revoir.さようなら。

おめもじでした。

「床下の小人たち」を借り読み! [借りぐらしのアリエッティ]

ジブリの最新作、「借りぐらしのアリエッティ」は基となるお話があり、それはメアリー・ノートン著、「床下の小人たち」という作品を原作としたアニメーション映画らしい。

私はこの映画を楽しみにしているので、図書館で本を”借りて”「床下の小人たち」を読んでみる事にした。
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この本は図書館の司書さんが、私の探していた本が見つからない代わりに同じ内容が読める本を探し出して貸し出してくれた、とてもありがたい蔵書なのだ。

発行年月日が1961年と古いものなのだけれど、この本の古さがまた味わい深いオーラを放っている。


読んでみてまず面白かったのは、小人たちの生活の描写。

たとえば画鋲をロウソク立てにしたり、安全ピンを扉のロックに用いたり、マッチの箱をタンスにしたり、銀貨を食事用のお皿にしたりとさまざま。

小人たちならではの視点で考えれた道具の使い道とその発想はとても新鮮に感じた。今ある物を最大限工夫して暮らしていくスタイルに感心しっぱなしだった。

しかし、このような暮らしにならざるを得ない理由があり、小人たちの生活に必要なものはすべてその家の人間の暮らしの一部からこっそり借りてこなければならない。

小人たちは人間に気付かれないタイミングを見計らい、安全な床下の家からときに危険をともなう人間の棲む環境へ踏みこんでいき、”借り”を行う。

もしも人間に見つかれば、その人間が小人たちをどうするかわからない。過去には借りに行ったままついに帰ってこなかった小人もいたらしい。

小人たちにとっては「借り」であり「狩り」なのか、と思う。

さらに必要なものをいつでも用意できるとは限らない。人間が近所のコンビニに買い物へ行くような気軽さは無い。その家の人間の暮らし方が変わってしまったがために、その家を出ていかざるをえなくなった小人たちもいるらしい。

だからこそ、ある物を最大限活用する。

それは主役の小人の少女、アリエッティは日記をつけているのだが、序盤でその日記帳がふたたび手に入るとは限らない、1日「1行」ずつ書いていけば20年はつづけられるという考えを持っていたことに端的にあらわれている。



借りぐらしには制限が多い。

小人たちは妖精や精霊といった霊的な存在ではなく、普通に人間が見聞きできるし会話もできる存在なのだ。

床下を走ったりすれば、その音で居所が家の人間に気付かれてしまうかもしれない。床下なので当然、生活に充分な明るさがあるわけでもない。

ましてや家の外へ行くというのは危険で、御法度のように扱われている行為でもある。

しかしアリエッティは外の世界にあこがれをもっている。


主題歌であるセシル・コルベルさんの「Arrietty's Song」は原作を読んでから聴くと、やや抽象度が高いように思えた歌詞もアリエッティの気持ちを映し出した表現だと理解できる。

風を髪に感じて、空を眺める…なんでもないようなことがアリエッティの暮らしには新鮮で、喜びをもたらすものだった。

変わらないわたしの小さい世界、嫌いじゃないけど、知りたいことがある、通じ合いたいものがある。

セシルさんは作曲のために「床下の小人たち」やシナリオ、イメージボードなどに何度も目を通したという。

英語・日本語の両歌詞にそのイメージ作業を積み重ね、丁寧に音楽に乗せていった感じが伝わってくる。


先日、「借りぐらしのアリエッティ」の鑑賞前売り券が発売され、その特典として初期のイメージボードをたくさん掲載したミニ本がプレゼントされると知り、さっそく券を購入。

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表紙のアリエッティはナウシカに通じるまなざしをたたえているが…

初期のイメージは、サツキとメイのお母さんの少女時代を思わせる幼い感じだったものもあったことがわかる。しちこくやま病院に入院する前の元気な感じ…のような。(笑)

妹的なキャラクターから姉的な印象にページを追うごとに変わっていく感じがした。様々なデザインの変遷をたどり、ようやくアリエッティというキャラクターが生まれたことがわかる。

映画につきもの、パンフレットもこの小人サイズだったりするのだろうか、まさか。


「床下の小人たち」は次に「野に出た小人たち」という続きがあり、さらにその続きもあるらしい。

アリエッティたちクロック家は家をでることになるのだけど、それからの続編はまだ読んでいない。

ちなみにさし絵がとってもかわいらしかった。写真をとっておこうと思う。ポッドという親父さんも愛嬌があるイラスト。

さし絵のジョー・クラッシュ、ベス・クラッシュ両人の仕事にも拍手。


おめもじでした。

床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫)



タグ:読書
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